ブルーマウンテンの挽き方でおすすめは?美味しい入れ方と保存も解説

コーヒーの王様ブルーマウンテンのポテンシャルを引き出す挽き方と抽出のマスターガイド コーヒー豆

こんにちは。「極・珈琲時間(Kiwami Coffee Time) – 憧れの銘柄と最高の一杯 -」、運営者の「コウノ」です。

ついに手に入れたコーヒーの王様、ブルーマウンテン。いざ自宅で楽しもうとしたとき、ブルーマウンテンの挽き方やおすすめの粒度について迷ってしまうことはありませんか。非常に高価で希少な豆だからこそ、絶対に失敗したくないし、そのポテンシャルを余すことなく引き出したいと思うのは当然のことです。実は私も初めて購入したときは、入れ方に関する情報を必死に探した経験があります。この記事では、ブルーマウンテン特有の黄金バランスを最大限に楽しむための最適な粗さや、道具選びについて私の経験を交えてお話しします。

コーヒーの王様ブルーマウンテンのポテンシャルを引き出す挽き方と抽出のマスターガイド

  • ブルーマウンテンの香味が最も輝く「中細挽き」の理由
  • グラインダーの刃の形状による味わいの変化と選び方
  • 酸味と甘味のバランスを整える湯温と抽出レシピ
  • 劣化を防ぎ鮮度を保つための冷凍保存テクニック

## ブルーマウンテンの挽き方でおすすめの基準と理由

ブルーマウンテンといえば、なんといっても「黄金のバランス」と称される完璧な調和が魅力ですよね。このバランスを崩さずにカップに落とし込むためには、実は豆の選び方以上に「挽き方(グラインド)」が重要になってきます。ここでは、なぜ特定の挽き方が推奨されるのか、その理由を深掘りしていきましょう。

黄金バランスを実現する中細挽きの定義

ブルーマウンテンの味の要素(香り・酸味・甘味・コク・苦味)と、酸味から雑味へと溶け出す成分の順序図

結論から申し上げますと、ペーパードリップでブルーマウンテンを飲むなら、迷わず「中細挽き(ミディアムファイン)」をおすすめします。これは単なる経験則ではなく、ブルーマウンテンという豆が持つ化学的な成分構成と、お湯が粉を通過する物理的な速度のバランスから導き出された最適解だからです。

ブルーマウンテンの味わいは、よく正五角形のグラフで表現されます。酸味、甘味、苦味、コク、香りのすべてが突出することなく調和している状態です。この「黄金のバランス」を抽出プロセスで再現するには、成分が溶け出す「順序」と「時間」をコントロールする必要があります。コーヒーの成分は、一般的に酸味成分(果実のような酸)が最初に溶け出し、次に甘味やフレーバー、その後にコクやまろやかさが抽出され、最後に渋みや雑味といったネガティブな要素が出てくるという順序を持っています。

ここで「中細挽き」が重要になります。中細挽きとは、具体的にお湯が粉の層を通過してサーバーに落ちるまでの時間を、およそ2分から2分30秒程度にコントロールできる粒度です。この時間枠こそが、ブルーマウンテンの華やかな酸味と柔らかな甘味を十分に引き出しつつ、雑味が溶け出し始める直前で抽出を終えることができる「スイートスポット」なのです。

ペーパードリップの最適解である中細挽きの抽出時間目安(2分〜2分30秒)と雑味を避けるスイートスポットの説明

ブルーマウンテンの中細挽きの目安をグラニュー糖と上白糖の粒子サイズと比較した解説画像

【中細挽きの具体的な目安】
ご家庭にある調味料で例えると、「グラニュー糖」と「上白糖」のちょうど中間くらいの粒度をイメージしてください。指先で摘んで擦り合わせたときに、ザラザラとした確かな粒子感がありつつも、少ししっとりとした抵抗を感じる程度です。岩塩ほど粗くなく、小麦粉のようにパウダー状でもない、この絶妙なポイントを狙います。

もし、これより粗い粒度で挽いてしまうと、お湯は抵抗なくスルスルと通り抜けてしまいます。すると、抽出の前半で出る酸味だけがカップに落ち、後半の甘味やコクが出る前に抽出が終わってしまうため、水っぽく酸っぱいだけのコーヒーになってしまいます。逆に細かすぎると、お湯がなかなか落ちず、粉とお湯が長時間接触することになります。結果、本来なら抽出したくない後半の渋みやエグ味まで溶け出し、ブルーマウンテン特有の透明感(クリーンカップ)が台無しになってしまうのです。

私が初めてブルーマウンテンを入れた時、少し怖くて粗めに挽いてしまったのですが、その時の味はまさに「色のついた酸っぱいお湯」でした。あの失敗体験があるからこそ、皆さんには自信を持って「中細挽き」をおすすめできるのです。

最高等級No.1豆の粒度と微粉の関係

ブルーマウンテンNo.1の粒度均一性と、適度な微粉がシルキーな舌触りとコクを生むことの解説

私たちが憧れる「ブルーマウンテンNo.1」という等級。これは単に味が良いというだけでなく、物理的な豆のサイズ(スクリーンサイズ)と欠点豆の少なさによって厳格に格付けされています。具体的には、スクリーンサイズ17以上(約6.75mm以上)の大粒な豆であり、かつ欠点豆の混入率が極めて低いものがNo.1と定義されています。

この「粒が大きくて揃っている」という物理的特性は、グラインド(粉砕)において非常に大きなアドバンテージとなります。粒の大きさがバラバラな豆をミルにかけると、小さな豆は過剰に粉砕され、大きな豆は粗く残るという現象が起きやすいのですが、No.1グレードの豆は均一に刃に当たるため、挽き上がりのメッシュ(粒度)も驚くほど綺麗に揃うのです。粒度が揃っているということは、お湯の浸透も均一になり、抽出ムラのない理想的な一杯になります。

そして、ここで避けて通れないのが「微粉(ふん)」の問題です。コーヒー豆を粉砕すると、設定した粒度とは別に、パウダー状の極めて細かい粉が必ず発生します。一般的に、この微粉は抽出過多の原因となり、雑味や渋みを生む「悪者」として扱われることが多いですよね。実際、安価な豆や深煎りの苦い豆では、微粉を取り除くことで劇的に味がクリアになることがあります。

しかし、ブルーマウンテンにおいては少し話が違います。「適度な微粉は、ブルーマウンテンのコク(ボディ)の一部となる」のです。

ブルーマウンテンの魅力の一つに、シルキーで滑らかな舌触りがあります。もし高性能なふるいを使って微粉を完全に除去してしまったらどうなるでしょうか。確かに味は透き通るようにクリーンになりますが、同時にどこか平坦で、奥行きのない、少し物足りない印象を受けてしまうことがあります。微粉から即座に溶け出す成分が、液体に絶妙な「とろみ」や複雑さを与え、それがブルーマウンテンのリッチな飲みごたえに繋がっているのです。

もちろん、これは「高性能なミルで発生する、許容範囲内の微粉」に限った話です。プロペラ式ミルなどで無秩序に発生した大量の微粉はNGですが、しっかりとしたミルを使ってブルーマウンテンNo.1を挽くのであれば、神経質に微粉を取り除く必要はありません。むしろ、その微粉も含めて丸ごと味わうことが、この豆のポテンシャルを最大限に楽しむ秘訣だと言えるでしょう。

粗挽きや細挽きが適さない科学的根拠

コーヒーの好みは人それぞれ。「自分が美味しいと思えばそれが正解」というのは真理ですが、ことブルーマウンテンに関しては、極端な「粗挽き」や「細挽き」を避けるべき明確な理由が存在します。これは感情論ではなく、成分抽出のメカニズムに基づいた科学的な根拠があるからです。

粗挽きによる未抽出(酸っぱいお湯)と細挽きによる過抽出(渋み・エグ味)のメカニズム図解

【挽き目の失敗パターンとメカニズム】

  • 粗挽きすぎる場合のリスク(未抽出):
    コーヒーの粉とお湯が接触する総表面積が小さくなります。ブルーマウンテンは比較的中煎り(ミディアムロースト)で仕上げられることが多く、深煎りの豆に比べて組織がまだ硬く締まっています。そのため、粗挽きにしてしまうとお湯が豆の中心部まで浸透する前に通過してしまい、本来引き出されるべき脂質や糖分(甘味のもと)が粉の中に残ったまま捨てられてしまうのです。結果として、表面から溶け出しやすい酸味だけが目立つ、バランスの崩れた味になります。
  • 細挽きすぎる場合のリスク(過抽出):
    逆に細かく挽きすぎると、表面積が爆発的に増え、成分の溶出速度が急激に上がります。さらに、粉の層が密になるためお湯の抜けが悪くなり、抽出時間が長引きます。ブルーマウンテンの最大の美点は「後味の透明感」ですが、過抽出状態になると、クロロゲン酸などの分解物や高分子のタンニンといった、本来なら出したくない重たい渋み成分まで絞り出されてしまいます。これが、飲んだ後の喉にイガイガ感を残し、せっかくの余韻を濁らせてしまうのです。

このように、ブルーマウンテンの「黄金のバランス」は、非常に繊細な均衡の上に成り立っています。フレンチプレスのように粉をお湯に長時間漬け込む抽出法であれば粗挽きが適していますし、エスプレッソマシンで圧力をかけるなら極細挽きが必須です。しかし、重力でお湯を落とすペーパードリップにおいては、「中細挽き」というゾーンを外してしまうと、この豆の良さを物理的に引き出せなくなってしまうのです。

「失敗したくない」という気持ちがあるなら、まずは教科書通りの中細挽きからスタートしてください。そこが最も安全で、かつ最も美味しい景色が見える場所なのですから。

フラット刃とコニカル刃で変わる味わい

ここからは少しマニアックですが、非常に重要な「道具」の話をしましょう。コーヒーミル(グラインダー)の刃の形状には、大きく分けて「フラット刃」と「コニカル刃」の2種類があり、どちらで挽くかによってブルーマウンテンの表情は驚くほど変化します。私はその日の気分や、合わせるスイーツによって使い分けていますが、それぞれの特性を知っておくと、より自分好みの味に近づけることができます。

刃のタイプ 特徴とメカニズム ブルーマウンテンでの味わい傾向
フラット刃
(カット式)
向かい合った2枚の円盤状の刃で、豆をスパッと「切断」するように粉砕します。粒子の形状が多面体になり、粒度が非常に均一になりやすいのが特徴です。 【クリア・香り・酸味重視】
雑味が極限まで抑えられ、ブルーマウンテン特有のフローラルな香りや、上質な酸味が鮮明に感じられます。まるで紅茶のような透明感を楽しみたい時におすすめです。
コニカル刃
(臼式)
円錐状の回転刃と外側の固定刃の間で、豆を「すり潰す」ように粉砕します。粒子の形状が立体的になり、意図的に分布の広い粒度(バイモーダル)を作ります。 【甘味・コク・複雑さ重視】
粒度の分布に幅があることで、味に奥行きと複雑さが生まれます。ブルーマウンテンのまろやかなボディ感や、濃厚な甘味を強調したい時に最適です。

コーヒーミルのフラット刃(カット式)とコニカル刃(臼式)の構造図と、キレ重視か甘味重視かの味の傾向比較

代表的な機種で言うと、日本の喫茶店文化を支えてきた「カリタ ナイスカットG」や「富士ローヤル みるっこ」などはフラット刃(またはそれに近いカット式)を採用しており、スッキリとしたキレのある味を作ります。一方で、世界中のバリスタが愛用する「マッツァー」や手挽きの最高峰「コマンダンテ」などはコニカル刃を採用しており、とろりとした質感を作るのが得意です。

私個人の感覚ですが、ブルーマウンテンNo.1の持つ「上品さ」や「気品」を際立たせたいならフラット刃、「リッチな満足感」や「甘みの余韻」に浸りたいならコニカル刃が合うかなと思います。どちらが正解ということはありません。同じ豆でも、ミルの刃を変えるだけで「あれ、違う豆かな?」と思うほど印象が変わるので、もし機会があれば飲み比べてみるのも一興ですよ。

手挽きミルのおすすめ機種とダイヤル設定

「電動ミルは場所を取るし、音も気になる。手挽きでゆっくり楽しみたい」という方も多いでしょう。特にブルーマウンテンのような特別な豆を挽く時間は、香りを楽しむ至福の儀式でもあります。ただし、手挽きミルの性能差は味に直結します。安価なセラミック刃のミルと、高性能なステンレス刃のミルでは、雲泥の差が出ると言っても過言ではありません。

もし予算が許すなら、私が心からおすすめしたいのが、ドイツ製の「コマンダンテ(Comandante C40)」です。価格は高いですが、その切れ味は電動の業務用ミルを凌駕するとも言われ、世界中の競技会で使用されています。このミルで挽いたブルーマウンテンは、雑味が一切なく、豆の細胞を壊さずに挽くため香り立ちが段違いです。

【コマンダンテのおすすめ設定(レッドクリックスなしの標準軸)】
24クリック 〜 25クリック

ハンドルを付けて完全に閉めた状態(ゼロ点)から、カチカチと24回〜25回緩めた位置。これがブルーマウンテンにおける中細挽きの「黄金比」です。もし「もう少しスッキリさせたい」「酸味を際立たせたい」と思ったら、28クリックあたりまで緩めてみてください。逆に20クリック以下に締めると、ペーパードリップではお湯が詰まり気味になり、過抽出で苦味が強くなる傾向があります。

高級手挽きミル「コマンダンテC40」の底部ダイヤルと中細挽きの黄金比(24〜25クリック)の設定案内

一方で、数千円で購入できるプロペラ式(電動のブレードグラインダー)や、安価な手挽きミルをお使いの場合は工夫が必要です。これらは粒度がバラつきやすく、微粉が大量に出がちです。対策としては、電動プロペラ式ならボタンを押しっぱなしにするのではなく、「1秒押して止める、振る、また1秒押す」といった「パルス挽き」を行うことで、ある程度均一に近づけることができます。手挽きの場合も、一度にガリガリと早く回さず、一定のゆっくりとしたリズムで挽くことで、粒の揃い方が安定しますよ。

## ブルーマウンテンの挽き方と併せておすすめの抽出術

挽き方が決まったら、次は「どう入れるか」、つまり抽出の実践編です。どんなに完璧に挽いた粉でも、お湯の温度が高すぎたり、注ぎ方が乱暴だったりすれば、その努力は水の泡になってしまいます。ここでは、私が試行錯誤の末にたどり着いた、ブルーマウンテン専用の抽出レシピと理論を公開します。

挽き目に合わせた最適な焙煎度の選び方

ブルーマウンテンを買うとき、焙煎度(ローストレベル)を意識して選んでいますか?実はお店によって「ミディアムロースト」だったり「ハイロースト」だったり、あるいは「シティロースト」だったりと様々です。しかし、中細挽きでペーパードリップをするなら、断然「中煎り(ミディアムロースト〜ハイロースト)」がおすすめです。

なぜなら、ブルーマウンテンという豆自体が、中煎りの段階で最も香味が開花するように設計されている(と言ってもいいほど相性が良い)からです。浅煎り(シナモン〜ライト)では、特有の青臭さが残り、素晴らしい酸味も「鋭すぎる酸」として感じられてしまいます。逆に深煎り(フルシティ以上)にしてしまうと、豆の個性が焙煎の焦げ由来の苦味(ロースト香)に塗りつぶされてしまい、「高い豆なのにもったいない」という状態になりかねません。

中煎りは、豆の細胞組織が適度に開き、熱による化学変化(メイラード反応やキャラメル化)がちょうど良いバランスで進行している状態です。この状態で中細挽きにすることで、お湯が粉の内部までスムーズに浸透し、キャラメルのような甘味と、果実のような酸味が同時に抽出されるのです。

もし、手元にある豆が「深煎り(シティロースト後半〜フルシティ)」の場合はどうすれば良いでしょうか?その場合は、挽き目を通常より「気持ち粗め(中挽き)」に調整してください。深煎りの豆は組織が脆く、成分が出やすい状態になっています。同じ中細挽きで入れると苦味が出すぎてしまうため、少し粗くしてお湯の抜けを良くし、抽出時間を短くすることでバランスを取るのです。

酸味と甘味を引き出す湯温の重要性

中煎り豆の硬い組織図と、90℃〜92℃の湯温が甘味とコクを溶かし出すために必要な理由の解説

湯温は、コーヒーの味を決定づける指揮者のような存在であり、抽出効率(成分がどれだけ溶け出すか)を左右する最大のエネルギー源です。ブルーマウンテンにおすすめの温度帯は、ズバリ90℃〜92℃です。

「最近は低温抽出が流行りだから、80℃くらいがいいのでは?」と思われる方もいるかもしれません。確かに深煎りの豆なら低温も有効ですが、中煎りのブルーマウンテンに関しては、ある程度の高温が必要です。なぜなら、中煎りの豆はまだ植物の繊維質がしっかりしており、低い温度のお湯ではエネルギー不足で、硬い組織の奥にある「甘味」や「コク」を溶かし出すことができないからです。

【湯温による味の変化】

  • 95℃以上(高温):
    抽出効率が高くなりすぎます。カフェインや高分子のタンニンなどが溶け出し、舌を刺すような雑味や苦味、渋みが出やすくなります。繊細なフローラルフレーバーが熱で飛んでしまうリスクもあります。
  • 85℃以下(低温):
    酸味成分は溶け出しますが、甘味やボディ感のもとになる成分が十分に抽出されません。結果、香りが弱く、酸っぱくて水っぽい、芯のない味になります(未抽出)。

最適な90℃〜92℃を作るのは簡単です。ヤカンや電気ケトルで水を沸騰させたら、それをドリップポット(細口のケトル)に移し替えてください。そして、一呼吸(約10秒〜20秒ほど)置いてから注ぎ始めると、だいたいこの適温になります。温度計があればベストですが、なくても「沸騰直後は使わない、移し替えて一呼吸」というリズムを覚えれば、ブルーマウンテンの美味しさを逃すことはありません。

美味しい入れ方の分量と蒸らしの時間

それでは、具体的な実践レシピをご紹介します。私が普段実践している、誰が入れてもブルーマウンテンのポテンシャルを80点以上引き出せる「失敗しない標準レシピ」です。高価な豆なので、できれば1杯取り(10g-12g)よりも、2杯分(20g)以上でまとめて入れたほうが、粉の層に厚みができ、お湯のコントロールが安定するのでおすすめです。

ブルーマウンテンの粉20g、湯量300ml、温度90℃〜92℃をアイコンで示した標準レシピ

【ブルーマウンテン専用・標準レシピ(2杯分)】

  • 豆の量:20g
  • 挽き目:中細挽き
  • 湯量:約300ml(サーバーへの抽出量)
  • 湯温:90℃〜92℃
  • ドリッパー:円錐形(ハリオV60等)または台形(カリタ等)どちらでも可

Step 1:蒸らし(ブルーミング)
まず、粉全体が湿る程度(約20ml〜30ml)のお湯を静かに、優しく置くように注ぎます。そしてタイマーを見てきっちり30秒待ちます。新鮮なブルーマウンテンなら、ここでハンバーグのようにふっくらとドーム状に膨らみます。これは豆に含まれる炭酸ガスが放出されている証拠。このガスを出し切り、お湯の通り道を作ることが、成分をスムーズに引き出す準備運動になります。

コーヒー粉がふっくらと膨らむ蒸らし工程と、タイマーで30秒計るポイントの解説

Step 2:抽出(1投目〜2投目)
30秒経ったら、中心から「の」の字を描くように、500円玉くらいの範囲でお湯を注ぎます。決して土手(周りの粉の壁)を崩さないように。1投目で成分の濃厚なエキスを出し、2投目で湯量を調整するイメージです。粉を暴れさせず、静かに水位を上げていくのがコツです。

Step 3:フィニッシュ
目標の抽出量(300ml)になったら、まだドリッパー内にお湯が残っていたとしても、スパッと外してください。最後までポタポタと落としきってはいけません。ドリッパーに残った泡や液体には、抽出後半に出た「アク」や「雑味」が凝縮されています。これをサーバーに入れないことが、ブルーマウンテン特有の、飲んだ後にスッと消えるような透明感(クリーンカップ)を実現する最大の秘訣です。

サーバーの目盛りを確認し、ドリッパーにお湯が残った状態で外すフィニッシュのルール

水出しやエスプレッソでの粒度調整

点滴式水出し(細挽き)、浸漬式水出し(中挽き)、エスプレッソ(極細挽き)の粒度設定の違い

ペーパードリップ以外で楽しみたいというチャレンジャーな方へ。「夏は水出しで飲みたい」「エスプレッソで贅沢に楽しみたい」という場合、中細挽きのままでは失敗します。抽出方法が変われば、適正な粒度も劇的に変わるからです。

【水出しコーヒー(コールドブリュー)の場合】
水出しには大きく分けて「点滴式」と「浸漬式」の2種類があり、推奨粒度が真逆になるというパラドックスがあります。ここを間違えないでください。

  • 点滴式(ウォータードリップ):
    一滴ずつ水を垂らす方式なら、「細挽き」がおすすめです。水は常温または低温なので、お湯に比べて成分を溶かす力が弱く、接触時間も一瞬です。そのため、細かく挽いて表面積を最大化し、物理的な抵抗を作って水をゆっくり通過させないと、味がスカスカになってしまいます。
  • 浸漬式(ポットに粉を漬け込むタイプ):
    麦茶のようにパックに入れて漬け込む方式なら、「中挽き〜中細挽き」がおすすめです。こちらは8時間〜12時間と長時間水に触れ続けるため、細かすぎると過抽出になり、雑味や粉っぽさ、濁りの原因になります。

【エスプレッソの場合】
もちろん「極細挽き(パウダー状)」が必要ですが、一つ注意点が。ブルーマウンテンは酸味がしっかりしている豆なので、エスプレッソ(少量濃厚抽出)にすると、その酸味が強烈に凝縮され、「酸っぱすぎて飲めない!」となることがあります。もしエスプレッソにするなら、普段より深煎り(フルシティロースト以上)の豆を選ぶか、ミルクと合わせてラテにするのが美味しく飲むコツです。

酸化を防ぐための保存と冷凍の活用

最後に、挽き方と同じくらい、いや、ある意味それ以上に大切な「保存」についてお話しします。どんなに素晴らしい挽き方と抽出テクニックを持っていても、豆自体が劣化していたら元も子もありません。

まず大前提として、絶対に「豆のまま」買ってください。

コーヒー豆は、粉に挽いた瞬間から酸素に触れる表面積が数百倍に増え、酸化スピードが劇的に加速します。ブルーマウンテンの命であるあの芳醇な香りや、ナッツのような甘いフレーバーは揮発性なので、挽いてから数分〜数十分でその大半が空気中に逃げてしまうと言われています。高価なブルーマウンテンを粉で買うのは、最高級のシャンパンの栓を抜いてから数日後に飲むようなものです。

では、豆のままどう保存するのがベストか。もし2週間以内に飲みきれないなら、「冷凍保存」が最強かつ唯一の解です。

化学反応の速度は温度に依存するという「アレニウスの法則」をご存知でしょうか。温度が10℃下がれば、酸化反応の速度は約半分になると言われています。つまり、常温(25℃)から冷凍庫(-18℃)に入れるだけで、劣化のスピードを数十分の一まで遅らせることができるのです。

【ブルーマウンテンを守る冷凍保存の鉄則】

  1. 完全密閉:買ってきた袋のままではなく、ジップロックなどの密閉袋(できればアルミ蒸着タイプ)に入れ、ストローなどで中の空気を極力抜いて真空に近い状態にします。冷凍庫内の食品の匂い移りを防ぐためです。
  2. 解凍厳禁:これが最も重要です。使う時は、冷凍庫から出し、常温に戻さず凍ったまますぐにミルに入れて挽いてください。「常温に戻してから」という説もありますが、出し入れの温度差で豆の表面に結露が発生し、その水分が豆を痛めるリスクの方が遥かに高いです。

密閉袋で空気を抜き冷凍保存された豆と、解凍せずに凍ったまま挽くことのメリット解説

実は、凍った豆は常温の豆よりも硬度が均一になり、ミルで挽いた時にパキッと綺麗に割れやすく、粒度が揃いやすい(微粉が出にくい)という嬉しい副作用もあります。鮮度も守れて挽き目も良くなる。冷凍保存は一石二鳥のテクニックなのです。

ブルーマウンテンの挽き方でおすすめの結論

挽き方(中細挽き)、湯温(90℃〜92℃)、保存(冷凍)のまとめと、豆を挽く時間を楽しむメッセージ

今回は、コーヒーの王様ブルーマウンテンの魅力を余すことなく味わうための「挽き方」と「抽出理論」について、かなり踏み込んでお話ししました。

最後に改めて要点をまとめます。ご家庭でペーパードリップを楽しむなら、まずは「中細挽き(グラニュー糖と上白糖の間)」を基準にしてください。そして、湯温は少し高めの90℃〜92℃を意識し、30秒の蒸らしを丁寧に行うこと。これだけで、いつものコーヒーとは別次元の「黄金のバランス」がカップの中に現れます。

ブルーマウンテンNo.1という素材は、正しく扱えば必ず応えてくれる素晴らしい豆です。なお、本記事で解説した等級基準や品質管理については、ジャマイカの公的機関である規制公社も厳格な基準を設けています(出典:ジャマイカ農産品規制公社(JACRA))。こうした背景を知り、丁寧に豆を挽き、ゆっくりとお湯を注ぐ時間そのものが、ブルーマウンテンを楽しむということなのかもしれません。

あなたのコーヒータイムが、より贅沢で香り高いものになりますように!

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